愛ちゃんの疑問
「先生~、うちのクラスに最近外国人の子がめっちゃ増えてきてるやん?なんでやろ?」
休み時間、教室の窓際でお弁当を食べていた愛ちゃんが、伊藤先生に声をかけました。
伊藤先生は黒板を消していた手を止め、愛ちゃんの方を向きました。
「そうだね、愛ちゃん。最近、日本の学校でも外国人の生徒さんが増えてきているよ。これには大きな理由があるんだ。」
伊藤先生の説明
伊藤先生は、黒板消しを置いて愛ちゃんの隣に座りました。
「日本では今、たくさんの仕事で人手が足りなくなっているんだ。特に、工場で働く人や、お年寄りのお世話をする人が少なくなってきているんだよ。」
「えー!そうなんや?でも、日本人がもっと働いたらええんちゃうの?」
愛ちゃんは、口の中のおにぎりを頬張りながら質問しました。
「それがね、日本は少子高齢化って言って、子供が減って、お年寄りが増えているんだ。だから、働ける人の数が減ってきているんだよ。」
「へー、そういうことなんや。でも、それやったら外国の人に来てもらうのはええことやん!」
外国人材のメリット
伊藤先生は、愛ちゃんの素直な反応に微笑みました。
「その通りだよ。外国の人に来てもらうことで、日本の会社は困っていた仕事を続けられるんだ。でも、それだけじゃないんだよ。」
「えっ?他にもあるん?」
愛ちゃんは、目を丸くして伊藤先生を見上げました。
「うん。外国の人が来ることで、日本の会社や学校に新しい考え方や文化が入ってくるんだ。それって、とってもいいことなんだよ。」
「なるほどなぁ。確かに、カリンちゃんが教えてくれた母国の遊びめっちゃ面白かったもんな!」
愛ちゃんの気づき
愛ちゃんは、クラスメイトのカリンちゃんのことを思い出して、うれしそうに笑いました。
「そうそう、そういうことなんだ。外国の人と一緒に過ごすことで、私たちも新しいことを学べるし、世界のことをもっと知ることができるんだよ。」
「へー、そう考えたことなかったわ。でも先生、外国の人が来るのはええけど、日本の文化とか言葉とか、全然違うやん?大丈夫なんかな?」
愛ちゃんの鋭い質問に、伊藤先生は少し考え込みました。
課題と展望
「そうだね、言葉や文化の違いは大きな課題だよ。でも、それを乗り越えるために、みんなで努力しているんだ。例えば、会社では日本語の勉強会を開いたり、日本の文化を教える教室を作ったりしているんだよ。」
「へぇ~、そうなんや。でも先生、逆に日本人も外国の文化勉強せなアカンよな?」
伊藤先生は、愛ちゃんの意見に驚いた様子で目を見開きました。
「その通りだね!愛ちゃん、すごくいいことに気づいたね。外国の人を受け入れるということは、お互いに学び合うということなんだ。」
読者への問いかけ
皆さんは、外国人材の受け入れについてどう思いますか?自分の住む地域や、働く場所で外国人の方と接する機会はありますか?もしあれば、どんな経験をしましたか?
愛ちゃんの決意
「よっしゃ!せやったら、わたしも外国の友達ともっと仲良くなって、いっぱい文化交換したるわ!」
愛ちゃんは、元気よく立ち上がりました。
「そうだね、愛ちゃん。みんなで協力して、お互いを理解し合える社会を作っていくことが大切なんだ。」
伊藤先生は、愛ちゃんの頭をやさしく撫でました。
「せやけど先生、わたしにも悩みあんねん。カリンちゃんの言ってること、時々わからへんくて…」
「そうか、言葉の壁は大きいよね。でも、心で通じ合うことも大切なんだ。ゆっくり話したり、ジェスチャーを使ったりして、コミュニケーションを取ってみるのはどうかな?」
「なるほど!やってみる!あかんかったら先生に聞きに来るわ!」
愛ちゃんは元気よく教室を飛び出していきました。伊藤先生は、そんな愛ちゃんの後ろ姿を見つめながら、「外国人材の受け入れ」という大きな課題に、子供たちがどう向き合っていくのか、楽しみになりました。
第2章は「技能実習制度とは?」というテーマで、愛ちゃんと伊藤先生の対話が続きます。お楽しみに!